環境教育にかかわる人たちの物語を伝えるインタビュー企画。
まずはエコエデュで活躍するスタッフの魅力をひもとき、
エコエデュの大切にしている世界観を伝えていきます。
スタッフ:髙木真梨子さん(まりちゃん)
――エコエデュでの普段の役割は?
まりちゃん: 今は第2子が生まれたばかりで、スタッフとしては休憩しているんですが、それまでは週に1、2回、事務のお手伝いをしていました。出産を機に、自分自身も子どもと一緒にエコエデュのプログラムに参加したいと思い、0〜3歳児とその保護者を対象にした「里山のかやねずみ」(通称:かやっこ)のにも参加しています。
スタッフとしても参加者としても関わるなかで、自分自身でも一つプログラムをやりたいと思っていて、「~環境楽校~エコエデュ発!コンポスト講座」を一から企画させてもらいました。
――エコエデュに関わるきっかけは?
まりちゃん: 私は会社員時代、銀行に勤めていたんですが、銀行で働く中で、組織の中の序列や人間関係に自分を合わせていくのが辛い、という思いがありました。本当に 自分らしくありたいと思っていたのに、組織の考えに自分を合わせていくことに、どこか無理をしていて、苦しさが積み重なっていた時代がありました。
もっと自分らしく社会と関わる場が欲しい、そんなコミュニティを持ちたいという思いがずっと自分の中にあることに気づきました。職場と自宅の往復だけでなく、また学生時代の人間関係とも別のところで社会と関わりたい。そんなふうに思っていた時に、静岡新聞の記事でエコエデュの活動を読んで、「自然の中で子どもと関わることをやりたいな」「ここ(エコエデュ)でなら、自分らしく社会と関わることができるかな」と思ったのがきっかけです。今から10年くらい前のことです。
そうして、「スタッフとして(NPO)会員になりたい」とエコエデュに連絡をしたんです。当時は月に2回くらい、「わんぱく題楽」(小学生向けの月に1、2回のプログラム)のスタッフとして活動に参加していました。
――まりちゃんって、どんな子ども時代を送っていたんですか?
まりちゃん: 子ども時代は、親が熱心に旅行とかテーマパークに連れていってくれたんですが、実は私はそれよりも、自分の家の近くの川でカニや石を観察するのが好きだったんです。おそらく親としては子どもが喜ぶところに連れていってあげたい、そういうところに価値があると思っていたのかもしれません。でも、私にとっては、(華やかな場所より)身近な川で遊ぶことにこそ価値というか、楽しみがあったのかな、と思います。親の考えと、私の楽しさの間にギャップがあったんでしょうね。
もしかしたら、生産主義から考えると価値がないように思えることにこそ、大事な価値があるのかもしれない……そんなふうに思っていたのが、今エコエデュにいる原点にあるのかもしれません。
――まりちゃんが思う、エコデュの価値って?
まりちゃん: 自分が社会人の時は会社勤めをしながらスタッフとして関わっていたんですが、自分らしく活動しているなかにも、(エコエデュのスタッフや関わっている子どもたちから)自分がすごく励まされたりしてきました。休日にエコエデュで活動して、そこでリフレッシュできて、会社に戻った時も自分を保てる。そんな場所でした。一度会社勤めを辞めた時も、自分と社会との関わりが一度切れたんですが、エコエデュの会員であることで(スタッフとして)声をかけられたりして、大切な居場所になっていました。
そして、自分が子どもを持った時にも、参加者として自分の居場所として迎えてくれて。自分自身の環境や立場が変化していても、エコエデュって、いろんな側面での自分を受け入れてくれるところなんだなと。
エコエデュに関わって10年以上経ちますが、その間私は2回の出産を経験して、今、二人の子どもの子育てをしています。もしエコエデュとつながっていない状態で、いきなり「子育てどうぞ」という状態になったら、きっと戸惑ってしまったと思うけれども、エコエデュで子どもとゆるやかに関わったことによって、自分自身が子育てをする時にも、すーっと、子育てに入っていけた。これは、変化ということではないかもしれませんが、子育てがなんとかなった、というのでしょうか。
もし私がエコエデュに関わっていなかったら、子どもに対して「大人と子ども」という関係性をつくってしまったかもしれません。だけど、エコエデュによって、子どもを一人の人格として関わらなきゃな、と自然に思えるようになりました。なんか、そういう意識で子どもに向き合えるというか。子どもという存在の見え方が変わっていったのかな、と思います。
聞き手:宇都宮南海子、文:北原まどか、写真:梶田亜由美(NPO法人森ノオト)