環境教育にかかわる人たちの物語を伝えるインタビュー企画。
まずはエコエデュで活躍するスタッフの魅力をひもとき、
エコエデュの大切にしている世界観を伝えていきます。
スタッフ:溝畑 綸さん(トッキー)
――エコエデュでの普段の役割は?
トッキー: 私は職員になって4か月で、いまは里山adventureというプログラムのスタッフをしています。毎週金曜日に小学1年〜6年生、12名の子どもたちと一緒に、「今日は山で何をしようか?」から始まって、季節ごとにいろんな種類のどんぐりを集めに行ったり、秋の七草を探しに行ったりしています。子どもたちと「スダジイ」という食べられるどんぐりがおいしいらしいという話になって、「じゃあまず焚き火をやってみよう」とどんぐりを炒るための火を準備したり。お正月はお餅を焼いてみて焦げちゃって、「焼き加減難しいね」と、毎回子どもたちにどんな気づきがあったらよいかなと試行錯誤しています。
――エコエデュに関わるきっかけは?
トッキー: 前職は東京で学童保育のスタッフをしていました。100人近い子どもたちと毎日会ってはいるんですが、業務日誌を書く時に、「あの子が何をしていたのか全然見えていない…」ということに気付いて、子どもたちに関わる自信がちょっとなくなってしまった時がありました。
そこを退職してから、いろいろなアルバイトをしましたが、やっぱり子どもに関わる職業にチャレンジしたいと思って、少人数、放課後、自然…と自分のやりたいことを絞っていくと、偶然ヒットしたのがエコエデュのホームページ。そこに書かれていた子どもに対する考え方が、すごく好きだなと思ったんです。一番いいなと思ったのは、「失敗してもいい、失敗は挑戦していることだから」ーー。そんなことが書いてあって、それが僕はすごくうれしかったんです。子どもの人数が多い現場だと、リスクの大きいことに挑戦したり、なかなか「失敗」させてあげられなかったんです。エコエデュは少人数だからこそ、失敗も寛大に受け入れて、そこから学べることがたくさんある。そういう考え方をしているところなら、子どたちもきっと生き生きするんじゃないかなと思って、思い切って連絡して、今働かせてもらっています。
――トッキーは、どんな子ども時代を送っていたんですか?今につながる原風景ってありますか?
トッキー: 東京育ちで、自然の中で遊んだ記憶はそんなにないんですが、ゲームのない家で育って、
鬼ごっこやったり普通に遊んでいました。つくることが好きだったから、凝り性な友だちと一緒に、泥だんごづくりハマって、作品つくっては耐久度試したりしてましたね(笑)。
あと、小学5年生の頃、夏の終わり頃だったと思うんですけど、子どもキャンプというのに参加して、赤とんぼがすごくたくさん飛んでいる牧場みたいなところに行きました。帽子を振り回したら捕まえられるほど、赤とんぼがバーって飛んでいて、それがすごく楽しかったんです。子ども時代はその1回しかキャンプに行ってないけど鮮明に覚えていて、それがきっかけになって、大学時代はキャンプリーダーのボランティアをやっていました。そのボランティをした時に感じた「子どもっておもしろい」が今につながっているのかなと思います。
――トッキーが思う、エコデュの価値って?
トッキー: …う〜ん、まだ言葉にするのが難しいんですけど……。
僕の昔の泥団子とか赤とんぼの話もそうですが、生きていくのに絶対に必要かと言われれば、そうではないのだけど。いろんな種類のどんぐりを集めたこととか、森の材料とマッチで火を起こせたこととか、自分の中にずっと残っている経験とか、自然の中ですごく楽しかったという体験が、その子がこの先生きていく上で何かしらの力になっていくと嬉しいですし、エコエデュはそんな活動をしているのだと思います。
聞き手・文:宇都宮南海子、写真:梶田亜由美(NPO法人森ノオト)